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この本に込められた筆者の意図と願い
「はじめに」からの引用で読み取ってみる。
筆者は、多くの子どもたちが、学びは困難で自分には無理なのだと思ってしまう「学習性無力感」に陥っているのは、子どものせいではなく、大人のほうに何か根本的な誤解があるためではないか、そして、大人たちこそが、すべての子どもが本来的にもつ「学力―学ぶ力」を喪失させているのではないかと考えるようになった。
しかし、人間の子どものもつ「学ぶ力」をもってすれば、喪失してしまった学ぶことへの意欲は、大人の工夫で回復することができるはずだ。
そのために必要なのは、大人が、自分たちが(あるいは社会全体が)有している、「学び」や「知識」についての誤認識に気づき、子どもたちの躓きの原因を理解したうえで、子どもたちによりそい、子どもたちが本来もっている「学ぶ力」を引き出せるように教育を変えることなのである。本書の書名『学力喪失──認知科学による回復への道筋』は、その意図と願いによってつけられたものである。
子どもたちが本来的にもっている「学ぶ力」をなぜ十全に発揮することができないのか、その原因と回復への道筋を認知科学の視点から解き明かしたいのである。
全体構成
3部構成、9つの章立てになっている。
- 第I部 算数ができない、読解ができないという現状から
- 第1章 小学生と中学生は算数文章題をどう解いているか
- 第2章 大人たちの誤った認識
- 第3章 学びの躓きの原因を診断するためのテスト
- 第II部 学力困難の原因を解明する
- 第4章 数につまずく
- 第5章 読解につまずく
- 第6章 思考につまずく
- 第Ⅲ部 学ぶ力と意欲の回復への道筋
- 第7章 学校で育てなければならない力──記号接地と学ぶ意欲
- 第8章 記号接地を助けるプレイフル・ラーニング
- 終章 生成AIの時代の子どもの学びと教育
第I部で学ぶ力を発揮できていないという現状の話から入り、第II部で現状に至った原因の分解と深掘り、第Ⅲ部でそれらを受けて回復への道筋を示すという流れになっている。
キーワード
この書籍を読み進めていく上で理解すべきと思ったワード、もしくは読む前に自分は知らなかった概念を表すワードなど。
- 生きた知識、死んだ知識
- スキーマ
- メタ認知
- アブダクション推論
- システム1とシステム2の思考
- 記号接地
- ブートストラッピング(発達心理学)
- プレイフル・ラーニング
- プロダクティブ・フェイラー (Productive Failure)
一言所感
人が何かを認知し、解釈を得て、知識を得ること、つまり「人が何かを学ぶこと」を再解釈させてくれる内容で、本書の言葉を借りれば「学びに関するスキーマをアップデートさせてくれる」そんな書籍だったと感じた。
また読み返したい書籍だったのでこのメモを残す。